ただ単に『肩が挙がらない』といっても原因は色々。
場合によっては時間が経つにつれてどうしようもなくなる場合もあります。
加えて、手術が必要な場合も多くはありませんが、やはりありますので、的確な判断が重要でしょう。
その『肩が挙がらない』の原因をいくつか。
①【腱断裂・筋断裂】
『腱』とは『筋肉の端っこ』の事です。
要するに筋肉の事です。
それぞれの筋肉には決まった仕事があり、それが完全に断裂してしまうと、その仕事ができなくなりますので、その筋肉が担当する動きができなくなります。
よって、どの腱・筋肉が断裂するかによっては肩は挙がらなくなります。
しかし、断裂してもなんとか肩は挙げられるというパターンもあります。他の筋肉で補うことをできる場合もあるからです。
どちらにしても、一定の動作は失われますので、『この動きができない』という状況に陥ります。
残念ながら完全に切れてしまっては再生・回復はしませんので、手術適応です。
②【神経障害】
基本的に脳からの命令で肩回りの筋肉が働くのですが、その脳と筋肉までの間のどこかで問題が起こることにより、それより先の末端の筋肉はちゃんと動いてくれなくなります。
切れてしまえばもう完全にダメですが、切れてなくてもどっかの筋肉に干渉されて伝達だけできてない、というパターンもあります。っというかそちらの方が多いです。
切れてない場合は早めになんとかしてあげれば復活します。とにかく早くなんとかしてあげることが大事です。長く放っとけば放っとく程回復もし辛くなります。
切れたらこちらも手術適応です。しかし手術すればまたなんなく動くというわけではありません。状態次第です。
③【筋肉の機能不全】
どういうことかというと、筋肉や神経が断裂しているというわけではないが、ちゃんと働いてくれていないという状態のことを言います。神経からの命令も伝わっているし、動くのは動くのですが、その力を全然発揮できていない状態です。『力が入らない』状態という感じです。
こちらも、治療を始めるにあたって何が一番重要かというと、『治療を早い段階で始める』ということです。
放っといても良くなることもありますが、『なにか変だな』と感じたら早めの受診をお勧め致します。
上記①②③はどれもそれぞれ特徴的な肩の挙げ方になるので、判断も割としやすいと思います。
ただ『肩が挙がらない』という訴えにしても、原因はそれぞれで様々なので、的確な判断が必要です。
④【肩周辺の問題】
肩に痛みがあって、肩が挙がらないとしても、必ずしも肩そのものに問題があるわけではありません。
例えば、頚部(首)まわり、背部、肘上下に問題があっても筋肉では繋がってますので、結果的に肩が挙がらなくなるということも少なくありません。
っというかむしろこちらの方が多いです。
『肩が挙がらない』『肩が痛い』といってもそこだけ診るのではダメです。
もちろん前回書いた《石灰沈着性腱板炎》に関しては肩周りそのものの問題なので、病院を受診する必要があります。
なんだかわからないまま治療を続けるというのが一番マズイです。
当院は画像診断や血液検査こそできませんが、できる限り内部の問題を手と目で見つけられるように日々努力しております。
状況、状態に応じて的確に判断。
ただなんとなくの治療は致しません。
『なんか変だな』と感じたら必ずなにか原因があります。
些細な症状でも早めにご相談頂けると光栄です。