1,肘周りに起こりやすい骨折の場所とその解説
肘周りに起こりやすい骨折には、いくつかの代表的なパターンがあります。特に多いのが以下の3つです。
- 上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)
これは上腕骨の下部で発生する骨折で、特に子どもに多く見られます。転倒して手をついた際に肘にかかる衝撃が原因となり、放置すると肘関節の動きが悪くなることがあります。
2.橈骨頭骨折(とうこつとうこっせつ)
前腕の橈骨の肘に近い部分が骨折するケースで、成人に多く、手をついて転倒した際に発生します。肘の曲げ伸ばしや手首の回旋が困難になることがあります。
3.尺骨鉤状突起骨折(しゃくこつこうじょうとっきこっせつ)
肘を強くぶつけたり、手をついて転倒することで発生する尺骨の骨折です。肘を動かすたびに痛みを伴うため、しっかりと固定して治療する必要があります。
2,肘周りの骨折の主な原因
肘の骨折の原因として、最も多いのは外部からの衝撃です。主に以下の3つが一般的な原因として挙げられます。
- 転倒による外力
日常の中で手をついて転倒することは、肘の骨折を引き起こす主な原因です。特に、肘を伸ばした状態で手をついた場合、肘に強い力がかかり、上腕骨顆上骨折や橈骨頭骨折が発生しやすくなります。 - スポーツや交通事故による衝撃
高速での衝突やスポーツ中の接触は、肘に大きな力が加わり、骨折を引き起こします。コンタクトスポーツでは特に肘を守ることが難しく、骨折のリスクが高まります。 - 骨粗鬆症による骨の脆弱化
高齢者では骨が脆くなり、軽度の転倒や外力でも肘の骨折が起こりやすくなります。特に骨粗鬆症を抱える方は、注意が必要です。
3,肘周りの骨折に対する整形外科的見解
肘周りの骨折に対する整形外科的治療では、骨折の位置や程度に応じた適切な処置が求められます。一般的な処置としては、以下の方法が考えられます。
- 骨折の評価
整形外科医は、X線やCTスキャンで骨折の状態を詳しく調べ、骨のずれや関節への影響を確認します。関節面が損傷している場合や、骨が大きくずれている場合は手術が必要です。 - 保存療法と手術療法
骨がずれていない場合は、ギプスやシーネでの固定が一般的です。しかし、ずれている場合や複雑な骨折では、骨を整復し、金属プレートやスクリューで固定する手術が行われます。 - リハビリの重要性
肘は関節が複雑なため、手術や固定後にはリハビリが欠かせません。早期の可動域訓練や筋力強化が、関節の動きを回復させる鍵となります。 - 特別な注意が必要なケース
子供の骨折では、成長プレートに関わる場合があり、成長への影響を避けるために慎重な治療が必要です。高齢者は骨粗鬆症によるリスクが高く、術後の骨密度改善が推奨されます。
4,肘周りの骨折に対する具体的な処置方法
肘周りの骨折に対しては、次のような処置方法が取られます。
- 保存療法(ギプス固定)
骨のずれが少ない場合、ギプスやシーネで固定し、骨が自然に治るのを待つ保存療法が選択されます。通常、3〜6週間の固定期間が設けられ、その後リハビリに移行します。 - 整復手術(開放・閉鎖整復)
骨が大きくずれている場合や関節面に影響がある場合には、手術が行われます。骨を元の位置に整復し、プレートやスクリューを使って固定します。手術後、リハビリまでの回復期間は数ヶ月に及ぶことが多いです。 - リハビリテーション
固定が解除された後は、関節の可動域を取り戻すためのリハビリが必要です。理学療法士の指導のもと、関節運動や筋力強化を行い、回復を促します。 - 疼痛管理
手術後やギプス固定中の痛みには、鎮痛薬や消炎薬が用いられるほか、整骨院でのアイシングや物理療法も有効です。
5,肘周りの骨折後の緩解期間と完全回復までの目安
肘周りの骨折後の回復期間は、骨折の種類や重症度、治療法、年齢、日常生活の活動レベルによって異なりますが、おおよその回復期間と完全回復までの目安は以下の通りです。
- 軽度の骨折(単純骨折やずれの少ない場合)
軽度な骨折で保存療法が選ばれる場合、3〜6週間でギプスが外されます。しかし、ギプスが外れた後すぐに完全に元の状態に戻るわけではなく、関節の可動域や筋力の回復にはさらに数週間のリハビリが必要です。完全に日常生活に復帰するまでの目安は、6〜12週間程度です。 - 中度から重度の骨折(複雑骨折や関節に影響がある場合)
手術が必要な複雑骨折や関節に影響を与える骨折の場合、治癒までの期間は長くなる傾向があります。手術後の固定期間は3〜6週間で、その後リハビリが開始されますが、関節の完全な可動域を取り戻すまでには数ヶ月かかることが多いです。通常、日常生活に戻るまでには3〜6ヶ月、スポーツや激しい活動に復帰するにはさらに時間がかかる場合があります。 - リハビリと日常生活の調整
リハビリの進行具合によって、回復のペースは個人差があります。リハビリ期間中は、肘の可動域や筋力を少しずつ回復させるため、理学療法士や治療家の指導の下で段階的に運動量を増やしていきます。早期に無理をしてしまうと再発や二次的な損傷のリスクが高まるため、焦らずに計画的なリハビリを行うことが重要です。 - 骨折後のケアの重要性
完全回復に向けては、整骨院での適切なケアや自宅でのセルフケアも重要です。日常生活の中で、肘を無理に使わず、負荷を減らすことが推奨されます。また、整骨院での定期的なケアにより、リハビリの進行をサポートし、痛みや腫れを軽減させることができます。
まとめ
今回の記事では、肘周りの骨折の主な場所と原因、整形外科的な見解と処置方法、そして緩解期間について説明しました。
肘の骨折は、日常生活やスポーツによる負担が大きく、適切な処置を行わないと長期的な機能障害を残すリスクがあります。
適切な処置やリハビリ、日常生活での注意が必要です。
肘の痛みや違和感が続く場合、早めの受診が回復のカギとなります。
また、整骨院でのケアはリハビリをサポートし、早期回復を助ける重要な役割を果たします。
しっかりとしたリハビリとセルフケアを心がけ、肘の健康を保つことが大切です。