『以前手を強く着いてしまってその後ずっと痛い』
まず、足首の捻挫もそうですが、関節に一定以上の外からの衝撃が加わると、位置関係(アライメント)のズレという現象が起きます。
上図が手首の関節となりますが、御覧のように結構な数の骨がキチンと決まって並んでおります。
これに外部からの衝撃が加わる事によって、決まっていた位置関係がずれてしまうのです。
衝撃が強過ぎる場合はこのゴチャゴチャした関節内で脱臼というのもたまに起こり得ます。
【月状骨脱臼】というのは割と目にする症例でもありますね。
もちろん骨折も起こり得ますが、ここではとりあえずそれは置いておきます。
【捻挫後の間違った対応】
ある程度以上の手首の捻挫をしてしまった場合は整形外科を受診される方が多いと思います。
そして整形外科ではほぼ100%レントゲンは撮るでしょう。
ここで骨折等あった場合はやはり固定した方が良いので、そのまま固定されます。
もちろん骨折の有無を確認する為にはレントゲンでの確認は有効です。
しかし骨折も無く、『異常ありません』だった場合、特に何もする事無く、帰らされるのではないでしょうか。
いや、それならまだマシなのかも知れません。
最も最悪なのは『とりあえず固定』される事です。
そりゃあ固定してしまえば動かせなくなりますから、痛み自体は出なくなります。
ただ、その後固定具を取った時に痛みが無いかと言われれば、間違いなく、痛みはありますし、その痛みは結構長く残ってしまいます。
なぜか?
① 関節内アライメントのズレを治してない。
② 固定する事で手首前後の筋肉が縮み、拘縮している。
③ 受傷時に急激に緊張した筋肉が慢性的に緊張している。
この三つが大きな理由と考えられます。
①
実際①の場合ですと、レントゲンでその状態を把握するのは難しく、そもそも病院ではそういう視点で見ないので、見逃してしまいがちです。
この①が有る場合はその後ずっと痛みや違和感が取れない事が多く、注意が必要です。
これを正しい位置関係に戻さないと、痛み及び違和感というのは取れませんので、そのまま固定するという事は良くありませんね。
②
そして②の場合は、まず固定することにより、動かせなくなるので、手首を動かす筋肉は『いらなくなる』為、短縮・縮む、つまりは筋肉が落ちます。
筋肉が落ちるという事は同時に縮んで硬くなってしまいますので、その硬くなった筋肉というのが痛みや違和感の原因となります。
以下の図は捻挫を含めた手首の怪我に関連する筋肉群です。
上図の筋肉がまず一番に縮んできますが、御覧のように肘関節も跨いでますので、中期的に見ると肘の痛みの原因にもなります。
③
③はというと、バンッと手を着いた時というのはまずは自身の身体を守らないといけませんので、嫌でも前腕の筋肉は急激に緊張してしまいます。
一旦急激に緊張してしまった筋肉というのは中々勝手に緊張が緩和するという事はなく、慢性的な緊張状態となってしまい、これが手首もしくは肘付近の痛みとなってしまいます。
②と③に関しては『固定』することにより、その悪化を助長してしまいます。
なんでもかんでも『固定』するという事はとても悪い事なのです。
【当院での治療法】
①に関しては、有効な治療法は整復、矯正、調整、いずれも似たような意味ですが、手技でアライメントを正しい状態に戻すという事になります。
ちなみにだいたい痛くはありませんので、安心してお任せ下さい。
②と③に関しての有効な治療法は、手技治療も大変有効ですが、もっと有効なのが鍼治療です。
痛みや違和感の原因となっている筋肉を直接緩めるような治療法となります。
もちろん鍼治療が苦手な方には手技のみで対応しております。
そして①・②・③いずれの場合もテーピングというのは必須です。
『良い状態を維持する為』にテーピングにて調整します。
あくまでも『固定』ではありませんので、テーピングをした状態で普通に使ってもらうようにしております。
使うためのテーピングです。
間違っても『安静にしておいて下さい』なんて言いませんよ。
捻挫の程度によりますが、『安静』は副次的な症状を生みますので、極力行わないようにしております。
【 ま と め 】
なんにせよ『痛みや違和感の原因となっている筋肉を特定して元に戻す』という事がその後の症状を出さない為に最も大事だと考えております。
足首に関しても当てはまりますが、放っといても中々いいことはありません。
そして捻挫は全般的に対応が早ければ早い程治るのも早いです。
積み重ねた期間分だけ回復にも時間が掛かりますよ。
なんだかよくわからない違和感等も割とスッと解消することが多いので、とりあえずなんでもお気軽に御相談下さい。