少し前ですが、患者様の中で急性の肉離れの方が来院されたので参考までに経過でも。
【来院時】
≪本人訴え≫
●受傷後約1時間後。
●痛みは強く、足は地面に着けない状態で抱えられてる状態。
●振動も痛みが強いようで、周りを動かすのも嫌がる。
●痛む場所は下腿後面全体。
●本人曰く、『プツッとした』みたいな訴え。
●打撲ではない。
●画像はサッカーですが、柔道。
≪状態確認≫
まずは状態確認です。
痛みが物凄く強く、周辺を動かすのも嫌がる状態ですが、治療家側は痛みに惑わされてはいけません。
とにかく皮膚の状態をよく観察して、圧痛を確認。
基本的にその周辺はどこを触ってもかなり痛がっていたのですが、一点だけ特に痛みが強いところを確認できました。
受傷直後である為、内出血は確認できません。
肉離れと内出血は基本的にsetなんですが、内出血が確認できるまでの時間は実はマチマチです。
それと肉離れである場合は多少の凹みというのを確認できます。
これは触る側が誰にでも確認できるわけではありませんが、人を触り慣れてる治療家であればわかり得るでしょう。
っという事で、初日の時点では80%の確率で肉離れであると予想します。
100%なのかも知れませんが、いかなる場合も『もしも』という事は頭に入れとかないといけません。
のこりの20%に関しては、コンパートメント症候群やらなんやら考えますが、他にも確率的に0%では無い全ての事を『万が一』として常に考えます。
とりあえず初日時点では足を着かせる事はできませんでしたが、とにかく経過を診てその都度判断して治療内容に反映していきます。
【1日後】
なんと。足が着けてるではありませんか。まだだいぶかばってしまうのはしょうがありませんが、昨日とは雲泥の差です。
治療後はさらに緩解し普通には歩けないものの、なんとか歩けてます。
この日も治療後テーピングを施し治療前後の変化・改善も見られ経過は良好だと判断します。
ただやはりある程度の可能性は考えながら治療は進めていきます。
【2日後】
前日は踵(カカト)を着けない状態でしたが、この日は、かばいはするものの踵を着けて歩ける状態。
初日を考えると経過はかなり良く、この時点ではもう肉離れだと100%断定できました。
ただ、この時点ではまだ内出血に関しては、『これかなぁ~』ぐらいで思ったより所見は見られませんでした。
凹んだ感じは初日より触りやすくなってるせいかわかりやすい状態でした。
テーピングをした状態で、だいぶ負荷をかけられるようになってきております。
【3日後】
私が思っているよりだいぶ経過が良いです。
受傷後2週間後は大事な試合との事でしたが、なんとかなるとお伝えしました。
【1週間後】
さて、ほぼ痛みは無くなり、完治とはいきませんが、無事大事な試合には余裕で間に合いそうです。
状態はといえばまだ怪しい感じは正直ありますが、テーピングをした状態ではとにかくどんどん動かすように指導しております。
【総論】
肉離れに関しては途中からは多少痛みがあっても無理して動かすことをオススメしております。(治療してテーピングしたうえで。)
なぜなら周りの組織を動かしてあげた方が改善が早いからです。
もしそこでとにかく動かさないようにしてしまうと、損傷した筋肉が修復する過程で、異常に緊張します。
そうなってしまっては痛みや違和感が長く残り、その筋肉の運動能力も低下してしまうので、結果的にポテンシャルも低下してしまいます。
まずは『肉離れかどうか』が最も大事な判断となりますが、ほぼ確定であっても『万が一』の可能性を残しておきながら経過観察するというのは必須でしょう。
その判断含めお任せ頂ければ光栄です。
※ちなみに『万が一』とは最悪≪癌・骨肉腫等≫をはじめとするヤバい疾患のことを指します。