妊娠後期の身体の使い方の変化
妊娠後期にあたり、身体の変化や身体の使い方の変化というのは大きく、お腹が大きくなるという事は別にして一番わかりやすい事では≪姿勢の変化≫と≪歩き方の変化≫ではないでしょうか。
妊娠してお腹が大きくなるにつれて、今までの身体の使い方はできなくなり、少しずつ身体の使い方というのは全体的に変わっていきます。
そしてもちろん骨盤の位置関係も変動していきます。
骨盤とはそもそも??
まず、骨盤というのは一つの塊では無く、いくつかの骨で構成されてますので、関節があります。
仙腸関節(センチョウカンセツ)というやつです。
実はこの『仙腸関節』という関節、一定の年齢以上になるとほとんどが全く動かないという説もありますが、基本的には動くものです。妊婦さんぐらいの年齢ですと間違いなく結構動きます。
なので胎児が大きくなるにつれて徐々に動きます。
その結果、『骨盤が開く』というやつです。
『骨盤が開く』というのはこの『仙腸関節』が動くということにあたりますね。
緩んだらその分遊びが大きくなるので、より可動域も大きくなってしまいます。
っという事で骨盤の歪みは大きくなりがちです。
しかし、それはあくまでもある程度までは正常の範囲内と言えます。
『骨盤の歪み』と『痛み』って関係あんの??
そもそも骨盤が広がっていくにつれて、本当に骨盤からの痛みなのかと考えた場合、必ずしもそうではありません。
妊娠後期に入るにあたって、骨盤の位置関係が変動していくのは絶対ですが、むしろその他の要因で腰を初めとした背中や股関節の痛みは出ます。
【股関節・恥骨の痛み】
上図の通り、恥骨の部分というのは真ん中が軟骨で、その両サイドに骨盤が繋がっているような形になります。
この部分を恥骨結合と言いますが、骨盤が歪むにあたって、この恥骨結合が捻れてきてしまいます。
ある程度の捻じれが強くなると痛みの原因となりますが、本質は実はそこではありません。
お腹が大きくなるにつれて、まずは下半身の使い方が変わってきますが、それに伴い、下半身の荷重が外側にいき過ぎてしまう場合が非常に多いです。
これに伴い、太もも外側の筋肉が過緊張してしまい、その結果股関節が捻れてきてしまいます。
加えて、荷重が外側に行き過ぎてしまうと内側の筋肉というのは上手く使えなくなりますから、徐々に縮んできてしまいます。
この内側の筋肉というのが、実は恥骨付近に付着しているものが多く、これが恥骨の痛みの実際の原因になります。
なので、恥骨付近の痛みは大腿部を含めた下半身の調節で改善する事が多いんです。
実は下半身の痺れなんかに関しても、これらが原因になるという事は非常に多く、大きなリスク要因になりかねません。
なんにせよ妊娠後期の恥骨付近の痛みを骨盤のせいにだけするというのは、違います。
そして、その痛みはちゃんと取れる痛みです。
【腰痛・肩凝り・頭痛】
現実的に妊娠後期にわたって骨盤自体もだいぶ変動してきますが、それを腰の痛みの治療で骨盤を無理矢理どうこうするというのは正直望ましくないと考えます。
なので当院では妊娠後期の方への骨盤矯正等はしません。
っというよりむしろ、他の箇所が原因となってる痛みが多いからです。
上記でも説明した通り、下半身の使い方というのも変わってくるので、こちらも併せて観察するというのが最低限必要になります。
腰痛に関しては、骨盤や下半身だけが痛みの原因になるという訳ではなく、上半身からの影響も多大に考えられるので、そちらも併せて診なければなりません。
そもそも妊娠後期であろうがなかろうが腰の痛みに関して腰自体が問題になってる事は少なく、その周りのどこかに原因があり、その結果腰の痛みになります。
妊娠後期の場合は特に身体の使い方そのものが変わる中で、頭を支える首周りの使い方も実は激変する為、首周りから背部にかけてが原因で腰に痛みが出ているというパターンがかなりの割合で多いですよ。
自身では首と肩周りのストレッチをしてあげた方が割と楽になったりするかも知れませんね。
妊娠後期でも治療できます。
今まで何回か聞かれる事もありましたが、妊娠後期であろうが治療自体は問題無くできます。
もちろん妊娠後期ともなるとうつ伏せができませんが、うつ伏せはしなくてもちゃんと治療はできますので、心配無く御来院下さい。
妊娠初期の妊婦さんに関しても、心配される方はうつ伏せ無しで治療しておりますので、気軽にお伝え頂ければ光栄です。
ボキボキもしないので安心して下さい。